最近、CSV経営という言葉をよく耳にします。
2015年1月号のダイヤモンド・ハーバードビジネスレビューでも、CSV経営として、ユニクロ、GE、ナイキ、ダノンのケースが紹介されていました。
CSVとはCreating Shared Value: 共同価値創造経営の意味で、企業の経済価値と社会的価値の双方を両立させる経営のことです。ハーバード大学の戦略論のマイケル・ポーター教授などにより提唱されています。
企業のステークホルダー(利害関係者)は次の4つです。
①株主 ②取引先(顧客・仕入れ先など) ③社員 ④社会全体
企業が経済的価値のみを追求した場合、①株主は利益が上がり、キャピタルゲインを得られますが、その他のステークホルダーはどうでしょうか。
②取引先は、短期的な価格・品質・納期などで取引を変えられることに良い意味の企業努力もしますが、長期的な関係作りをしなくなる可能性があります。
③社員はいつ自分の部門が他社に売却されるか、閉鎖などされるかと思い、会社への忠誠心は低下します。
④雇用創出、地域貢献という意味での社会への影響力も弱くなります。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、そのクレド(我が信条)の中で、上記4つのステークホルダーの優先度を高い順に
取引先→社員→社会→株主
と設定し、そのことを社員に徹底して日々の行動基準としています。
このことは取引先、社員からの信頼を高め、また社会からの尊敬にもつながっています。同クレドに基づき、ボランティアやプロボノ活動も積極的に推進されています。
NPO/NGOで働く人たちは、そのモチベーションがたいへんに高く、むしろ一般の株式会社の社員よりも熱く仕事をしていると聞くことがあります。それはなぜでしょうか。NPO/NGOのメンバーが何かの社会問題の解決のために、困っている人たちを助けるために、仕事をしているからであろうと思います。
一般の企業においてもそのことは同様と言えるでしょう。
CSV(Creating Shared Value)経営では、下記が提唱されています。
1)自分の企業・組織は社会に役立つ商品・サービスを提供している
2)そのビジネスプロセスは、公平で社会的に正しいものである
3)社会クラスタ(NPO/NGOなど)へもサポートをしている
このようなことを行っている企業に属していることを社員が自覚し自信を持てるようにすると、社員のモチベーションも格段に上がります。
その結果、業績・利益も上がる好循環につながり、企業の社会貢献と利益の両立ができるのではないかと思います。
(EQパートナーズ 代表 安部 哲也)