フィリップ・コトラー教授の「3つのP」

2019年10月9日、マーケティングの神さまといわれるフィリップ・コトラー教授のマーケティング・サミットに参加させていただきました。私自身、15年以上前に、ビジネススクールで学んだ際に、すでにコトラー教授の本はマーケティングの教科書として学ばせていただきましたため、コトラー教授の講義を受け、また一緒に会話、写真撮影させていただいたことは実に素晴らしい体験でした。

1)理想の社会とはどのようなものか?

 例)飢餓や貧困がない、衛生状態がよい、安全な水がある、良い家に住む、良い隣人がいる、自由な教育を受けられる、ヘルスケアが充実している など

 ⇒ 人が希望を持てる社会である

2)資本主義には2つある 古い資本主義(現在の資本主義)&新しい資本主義

・古い資本主義は機能しているか?

米国でも、貧困レベル15%、多くの人が十分な貯蓄がない

 GDPという指標を使って、進展しているか(理想の社会に近づいているか)?

 GDP(は一つの指標であるが)という指標だけで決めてはいけない。GDPはすべてが一緒になっている。

例)軍事予算が多くなる。たくさんのカジノができる などで、GDPは上がる。

 GDPが上がると、非行、環境問題が悪くなる、健康レベルが下がる

 ユニリーバの元CEOポール・ポールマンは、世界、社会、環境に関する最も重大な課題への理解の深さと、それらに対処する手段としてビジネスを活用した。(経済成長のために、環境を壊してはならない)

 「人の生活全体を見ないといけない」

 例えば、米国の民主主義。80%の人が銃はいらないと言っているが、銃は蔓延している。人種差別の問題、白人至上主義などもある。

コトラー教授の講義の中で印象的だったのは、“3つのボトムラインのPが重要である”ということでした。
3)3つのPとは

1)Profit : 企業であるからには、自社の永続的な発展、成長、ステークホルダーへの還元のため利益を上げていくことは必要です。

2)People: 企業経営には、社員、 パートナー、関係者、お客様、取引先など多くの人がかかわります。それらの人々を大切にすることは、企業経営において欠かせないものです。

3)Planet: そしてもう一つのPがPlanet:地球です。自社が利益を上げ
続けたとしても、我々が住む地球環境が破壊されてしまえば、企業も人も存続できません。全人類77億人が先進国並みの生活をしていくには、地球が4個必要になるとのことです。

2019年10月28-29日の日経世界経営者においても、ネスレ名誉会長のピーター・ブラベック・レッツマット氏、ファーストリーテイリング(ユニクロ)のCEOの柳井正氏、キリンの社長の磯崎功典氏など、日本、世界のトップ経営者も、地球環境保全の重要性について、言及していましたが、今回のマーケティング・サミットでも例年以上に、地球環境問題へのコメントが多くありました。

世界の企業が自社の利益、株主価値だけではなく、人や社会、環境などにより注力する経営に転換していく傾向にあるようです。

自社のProfit(利益)はもちろん、People,Planetも併せた3つのPを大切にしながら、経営やビジネスを行っていきたいものです。

(2019年12月4日 EQパートナーズ株式会社 代表取締役・立教大学院 ビジネススクール教授 安部哲也)

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