(前回の記事: コア・コンピタンスはグローバル化に重要?その1 )
Tree of Competence
◆ 幹は太く、根は深く、広く ◆
Hondaの成功事例を見ると、コア・コンピタンスで成功する鍵は、木を多く植えるのではなく、
一本の木を太くすることにあるように見えます。
そして、進出する新しい分野(枝)は、太い幹から芽が出ている分野であり、
決してコアから外れている分野ではないのです。
実に、皆さんの企業が新しい分野に進出を考えているとすれば、
このコア・コンピタンスを基にした戦略は、自分の強みを梃(てこ)にした、
成功する要素が多く味方になってくれる戦略とも言えます
(この戦略については、また別のブログ記事で紹介します)。
◆ コア・コンピタンスはグローバル化でも重要 ◆
企業が、自分のコア・コンピタンスをしっかりと把握することは、
その企業のグローバル化の成功の鍵にもなります。
例えば、皆さんの会社がグローバル市場への進出を考えているとしましょう。
これは、先ほどの「相撲からアメフト」のように、まったく違う市場を考えている場合もありますが、
多くの企業は「自分が知っていること」で勝負をしようと考えるのが普通ではないでしょうか?
私が思うに、これは「柔道で世界に勝つ」という考えに似ていると思います。
そもそも柔道は日本でできたものなので、日本人が一番よく知っていて、
強いであろう(あるべき)と信じていた日本人の方が多くいたと思います。
でも、ロンドンオリンピックで日本人柔道が惨敗したことは、すごいショックでしたね。
「柔」?「Jyudo」?
日本人の柔道が惨敗した理由は色々言われていましたね。
「日本の柔道は『柔(やわら)』で、スポーツじゃない。
外国人は『Jyudo』というスポーツで勝った。」とか、
「違うルールで試合をしている」とか。
中には「日本の“一本勝ち”の形を貫く」という選手たちも出てきました。
ただ残念ながら、こういう選手たちは、負けてしまった人が多かったですね。
でも、彼らはとっても格好よく見えました!
これを、コア・コンピタンスの視点から見たら、どうでしょう?
私は、「柔」と呼ぼうが、「Jyudo」と呼ぼうが、
両方とも「木の実」の部分に相当するエンド・プロダクツだと思います。
逆に、エンド・プロダクトの善し悪しで勝負が決まるのであれば、
Apple社のiPadは、とっくの昔に、他社製品に負けている(注2)と言われています。
でもiPadは、いまなお強い。
これは、Appleが「タブレット」という木の実で勝負しているのではなく、
それを支える根っこと幹とで勝負しているからだと言えるでしょう。
(注2)「とっくの昔に、他社製品に負けている」:
コア・コンピタンスと関連した概念をサイモン・シネック氏が著書で紹介しています。
『WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う』(日本経済新聞出版社)
◆グローバルの勝負はエンド・プロダクツではない◆
勝負はエンド・プロダクツにあるのではなく、それを支える木の根っこと幹にあると思います。
なので、実だけに気を取られて「勝負の商品」を選ぶと、
グローバルでは惨敗してしまうこともあり得るのです。
グローバルへの進出は、あくまでも
木の根っこが深く、しっかりと生えている分野で勝負してくださいね!
◎次回は、「コア・コンピタンスを洗い出す方法」をご紹介します◎
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