コラム “日本型マネジメント” × “欧米型マネジメント”

EQパートナーズ代表の安部哲也です。

安部哲也

稲盛和夫氏の著書『京セラフィロソフィ』を読みました。この本は、これまで京セラ社内向けに使用されていたのが、今回一般に発売されたものです。京セラ、KDDIの創業、そしてJALの経営変革をリードした稲盛氏の経営哲学とその実践事例が述べられています。 経営者や管理者、またそれを目指す方にはおすすめの1冊です。私の知るあるベンチャー企業経営者はこの本を手元に置き、常に振り返りながら経営を実践しています。

「京セラフィロソフィ」とは一言でいうと「人間としてどう考え、どう行動するのが正しいか」という点が根本にあります。
1)自分の心を高める
2)利他の心を判断基準とする
3)一人一人が経営者である(アメーバ経営)  など

実例として、稲盛氏がKDDI(当時第二電電)の事業を行うかどうか迷ったとき「その動機が善であるかどうか(正しいものであるか)」を毎日考え抜き、決断したことなどが述べられています。

読み終えると、私が以前勤務していたパナソニックの創業者 松下幸之助氏の経営哲学と共通している部分が多いことに気づきました。
これは稲盛氏が松下氏のことを研究されたこともありますが、松下氏の考えも含め実際に稲盛氏が京セラの経営で実践した結果、自分自身の哲学としたものであると考えます。

京セラ、パナソニック、加えてトヨタなどの優れた日本企業には共通する日本的なマネジメント哲学がその根底にあります。これを“日本型マネジメント”と定義します。

一方、GE、P&G、GOOGLE、ネスレなど欧米の優良企業を見ますと、明確なビジョン、エッジの効いた戦略構築、新しいビジネスモデルの創造、変革・スピード、リスクテイク、ダイバーシティなどの
“欧米型マネジメント”の強み・特徴を持っています。
これらは日本企業にとっての弱みであり、アジアや海外市場で日本企業が苦戦している理由は、これらの要素が不足している点にあります。
例えば、“日本型マネジメント”の強みである全員経営、品質などを重視しすぎるあまり、リスクを取れなくなり、市場のニーズとかい離し、海外市場で負けているケースが数多く見受けられます。

日欧の資本が入っている日産自動車は「モノづくり」「人づくり」「おもてなし」などの“日本型マネジメント”をベースとしながらも、「多様性の追求」「コトづくり(ブランディング)」などの“欧米型マネジメント”を取り入れ、グローバルマネジメントを実践しているケースです。

このように“日本型マネジメント”の強みを活かしながらも、そこに安住せず“欧米型マネジメント”の強みを取り入れるハイブリット型の「新しい“日本型マネジメント”」が、現在の日本企業の目指すマネジ
メントであると考えます。

(文責:EQパートナーズ 代表 安部哲也)

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