今は、VUCA(変動性、不確実、複雑、あいまい)の時代と言われます。
組織の中核的な役割を担うリーダーに求めれる力も変化してきています。
かつてのリーダーは、経済の成長期また成熟期の中、どちらかというと
問題が発生しないよう、また他社と同様の戦略を同様に実行するといっ
たマネジメント力、管理力が求められてきたように思います。
当然、これからの企業リーダーにとってもこのマネジメント力は不可欠
です。しかし、この変化の時代にあっては、変革能力であるリーダーシ
ップ力も同時に、重要な要素となってきます。
ハーバード大学のジョン・コッター教授は、「リーダーシップとマネジ
メントは別物である。多くの組織がマネジメント過多、リーダーシップ
不足の状態に陥っている」と言います。
EQP BLOG 企業と人材 図 V05 170427 最終送付版
ジョン・コッター教授は、10年間、100社以上の企業の調査研究の結果、
組織変革の8ステップとして下記をあげています。
1)緊急課題であるという認識の徹底(危機感の醸成)
2)強力な推進チームの結成
3)変革のビジョンの策定
4)ビジョンの伝達
5)ビジョン実現へのサポート
6)短期的成果を上げるための計画策定・実行
7)改善成果の定着とさらなる変革の実現
8)新しいアプローチを根付かせる
コッター教授は、特に1)緊急課題であるという認識の徹底 の段階
で失敗した例が過半数を占めると言います。
これまでの居心地の良い状態から社員を引きずり出す、現状維持では
ダメであると危機感を持たせることが、リーダーの役割なのです。
大企業であればあるほど、優良企業と言われる企業であればあるほど、
危機感を醸成することは難しくなります。
2000年当時、パナソニック(当時、松下電器)の変革においては、
当時の中村社長が「松下電器はつぶれる」、「経営理念以外はすべて
見直す」、「破壊と創造」と何度も繰り返し、全社の課題認識を高め
ていきました。
このような組織変革では、組織のトップリーダーのみではなく、現場
をリードするミドルリーダーの役割も重要となります。
パナソニックの場合、トップリーダーが変革を主導しましたが、最も
変わったのは、ミドルリーダー層であったと言われます。
VUCAの時代、リーダーには、企業トップであっても、ミドルであっ
ても、守りのマネジメントと攻めのリーダーシップが強く求められて
います。
参考:『リーダーシップ論 人と組織を動かす能力』
(ジョン・P・コッター著、ダイヤモンド社)