マレーシア視察報告 その2(by早嶋聡史)

EQパートナーズ講師の早嶋聡史です。
早嶋聡史以下は、2014年2月25日から28日の間に訪れたマレーシアの視察報告です。現地でのビジネスパーソンとの情報交換をベースに私見をふんだんに盛り込んでいるレポートのため、事実と異なる部分もあります。

「マレーシア視察報告 その1」は こちら

【ホテル・宿泊・不動産事情】
クアラ・ルンプールのように一人あたりのGDPが1万ドルを超えるくらいから、国内外の移動者が増加し始める。
しかし多くのホテルはリゾート系でレストランとウエディングを併設する。
旅行者やビジネスで利用する人に対してホテルが不足していることから、清潔と安全が保証されるビジネスホテルの需要は高まる。
長期滞在者向けにはホテルよりもサービスアパートメントやコンドミニアムなどが重宝するが、圧倒的に少ない。

ジョホールバルでは金持ちの学生向けの施設が不足している。
学生用の施設のほとんどがプライベートの確保が無い苦学生用の建物。
しかし、イスラム圏、オイル資源を持つ国からの留学生向けに、個室が確保され、かつ学生が集まる施設や建物を誘致することができれば、ここにはビジネスチャンスが生まれる。
親が裕福なので契約も年間契約で予算化できるため、今後も学生の受け入れを増やし、大学施設が多いジョホールバルでは伸びていくビジネスになると感じる。

継続的に建設ラッシュが続いている。
クアラ・ルンプールや郊外を中心に高層マンションの建築を至ることろで観察できる。

クアラ・ルンプールは土地が狭く経済圏として栄えているため、結果的に土地が高騰している。
アクセスの良い住宅地では、100坪程度の戸建ては2億円前後の価格帯になる。
同様の立地条件でのマンションも6000万円前後の価格帯。
当然、クアラ・ルンプールから距離が離れていくとその価格帯の10分の1になるなど価格差が激しい。

ジョホールバルは、シンガポールまで20分程度の立地条件のため、シンガポールで仕事をしている人がこぞって住宅を求めている。
日本は当然のこと、イギリス、アメリカ、台湾。シンガポールの人も含めて、ジョホールバルに引越をしている人が多い。
不動産開発を行うのであれば、クアラ・ルンプールはかなり成熟してきたので、そういう意味ではジョホールバルにはまだまだ可能性が残っている。

地震が少ない国なので、日本の鉄筋や基礎と比較すると恐ろしく貧弱。
マレーシア全体で建設ラッシュが続いており、至る所でスクラップアンドビルドが見られる。
ビルを解体しているときのコンクリートや鉄筋を見ても、その量の少なさが際立つ。

街並みが整備されたところは日本と同じように見える。しかし、歩道や道路など、基礎が弱いため、経年劣化による凹凸が目立ったり、ヒビ割れが目立ったり。ひどいところは陥没しているところもある。
一つ一つの工程をテキトーに行っていることが分かる。
こちらに関しての改善、違いを強調した施工を提案するとチャンスはあると感じる。

【病院事情】
マレーシアの病院は、日本の医療に加えて熱帯性の病気や感染症に対応しないといけないため、難しい印象がある。
基本は国立病院の医療は全て無料だが、どこの病院も長蛇の列で待ち時間が長い。
しがたって富裕層は、医療費全額負担をしてでも、直ぐ診てもらえる私設の病院に行く。

マレーシアはリタイア後の人を積極的に誘致しているが、バリアフリーの観点からするとまだまだハードルが高過ぎる。
街を歩いていると至るところが凸凹で、交通のルールも守られているようで秩序が一部欠如している。
お年寄りにとっては非常に住みにくい。勿論、都市を離れたところで生活するのであれば別だが。
平均年令が低い人口構成だから、今のインフラでも文句が少ないのだろう。

【プロラジャヤ】
マレーシアでは公務員の待遇は相当手厚い。元々、公務員の出社は10時頃からで16時には帰る。
その理由は16時頃から渋滞が始まるので早く帰らないと巻き込まれるから。
そんな文化があるので、マハティール首相は行政区を町ごと作った。それが、プトラジャヤ。日本でいう霞ヶ関だが、そこには国の各省庁とそこに務める公務員専用の住宅などのインフラが整備されている。
タクシーの運転手の話によれば、各省庁の建物がそれぞれ異なる。
それは首相が海外に行って気に入った建物をそれぞれの省庁で作ったからだとか。
広大な敷地に巨大な建設物がならんでいる姿は圧巻。街全体は人口の湖を周囲に配してその中に行政区を作っている。

プロラジャヤの完成度は40%で未だ60%の計画が未達。
背景には財政が思うように回っていないことがあるとタクシーの運転手が言っていた。
確かに、その巨大さ、人口3000万人の規模に対する公務員用途と考えると、明らかに過大な投資をイメージした。
公務員には一人一つの部屋が与えられており、そのため一つの建物が巨大になっている。
将来、人口が増えたときにも対応できるように建物には余裕をもたせているそうだが、40%しか計画が進んでいないというのも納得。

クアラ・ルンプールには、ほぼ全ての施設が充実している。
更に加わるとしたらオーケストラの演奏が出来るほどの劇場くらいか。
都市の至るところには公園があり、人工的に作った池の周りに人が集う景色をよく見かける。

【水事情】
観光客やビジネス客に対しては、基本はミネラルウォーターを買って飲むことを勧める。
まだまだ浄水と下水の技術が追いついていない。
水処理技術に対しては、日本とマレーシアの双方の政府援助を受けながら、日本の中小企業が進出して技術を提供している。

インフラ全体で街なかにある配管事態が古く細いため、技術を導入しても直ぐには改善しない。
時間をかけて計画的に配管を含めた水回りを改修していかないと品質は向上しないだろう。

マレーシアの経済を支えるビジネスの一つであるパーム油の製造は、パームヤシの実を機械で圧縮しながら油を絞りとる単純な工程だが、その過程でかなりの水を使う。
その汚れた水の処理は徐々に問題視されているので、日本の水処理技術が注目されている。
知人でパーム油のビジネスを行っている経営者は、日本の経済産業省経由で日本の中小企業の技術を直接取り入れている。
彼の話によれば、大阪の中小企業が水処理技術を多数保有しており、日本の大企業に納めている。
つまり、彼らは中小企業と直接取り引きを行いながら取引単価を抑える仕組みを作っている。

上記のように地域の環境問題を解決する技術に対しては、ODAの補助金がつきやすい。
企業の規模にもよるが、この手の技術を日本から海外に持ち出す場合、段階的に補助金が支給されている。
パーム油のビジネスでは、工場に対して日本のISOのような認定があり、その認定のなかに水処理を一定レベルにすることが義務付けられている。
その認定がなければ海外に輸出することができないので、パーム油企業も水処理技術の改善に対しては力を入れている。

【パームヤシ】
油を搾り取るパームヤシは、マレーシアの郊外に行くと至る所で見ることができる。
クアラ・ルンプールを飛行機で離陸する際に、パームヤシの畑が大規模に広がっている様子が見えた。
パームヤシは木を植えて3年程度で実が収穫できるようになり、20年間くらいは収穫を続けることができる。
パームヤシの実を絞って油を作る際に出た絞りカスは乾燥圧縮してチップにして日本に輸出する。
このチップはボイラーを焚くための燃料として用いられる。

マレーシアは国の規程で森林を50%保たなければならない。
現在、60%程度が森林で、今後パームヤシ畑の開発が限られていく。
そのため近年はインドネシアに進出してパームヤシ畑の開拓を進めている。
乾季の時期は、インドネシアの森林を焼き払い、パームヤシを植える準備をしている。
森を焼く作業が昼から夕方にかけて行われるため、夕方頃からマレーシアはスモッグのように煙に包まれ、視界が悪くなる。
シンガポールも同様に視界が悪くなる。
シンガポール政府は抗議をしているが、マレーシアは自国のメインビジネスが関係するためなんとも言いがたいという。

【インドネシア】
日本の製造業も進出しているが、マレーシアのネイティブも同様にビジネスチャンスがあると考えていることが分かる。
ただし、マレーシアと違って、インドネシアはビジネスや政治や法律等のルールがコロコロ変わる。
したがって、インドネシアでのビジネスを行うには、インドネシアでの現地パートナーを持つことがポイントのようだ。
チャンスはある一方でまだまだ貧富の差が激しく、治安が悪い部分がある。
日本企業であれば、ある程度、マレーシアでモデルを作った後に、インドネシアに展開するというのはあり。

【車事情】
やはり日本車は人気。だが、マレーシアでは日本の車には3倍もの関税がかけられるため、普通の車でも1000万円程度の価値になってしまう。
これは、国策として1社存在する車メーカーを保護する目的だろうが、やはり高いと感じる。
当然中古マーケットも栄えている。

シンガポールのように車の乗り入れ規制をしているわけではないので、都市部は慢性的に渋滞がおこる。
朝夕はひどいラッシュが日常的な光景として目に焼きつく。
このまま経済が発展すると車の規制は必ず進むと思う。
背景には、公共の交通機関で通勤する、通学するという考えが若干少ないというのもあるかもしれない。

【結婚事情】
イスラム圏は一人の夫に対して4人まで妻を持つことが許されているが、最近は一夫多妻は少なくなっているようである。
それは、一人の妻に対して家を買った場合、他の妻に対しても平等に振る舞わないといけないというような金銭的な問題があると同時に、女性の地位が高くなっているからという背景がある。

マレーシアでは優秀な学生は国費留学で国内外で学ぶ。
その半数が女性で、成績も女性が平均的に高いそうである。
現在では、そのような女性が医者、弁護士、会計士、国家公務員などに就き、地位とお金を持つようになった。そのため独身の女性も増えているようだ。
これは経済が豊かになっていく時期に観察される現象だと感じた。

【国による大きな特徴】
今回の視察で改めて感じたこと。それは、国によって得手不得手があるということ。

例えば日本。
間違いなくモノづくり、サービス精神の国であることを感じる。
したがって、日本はモノづくりやサービス精神を追求して、その他の部分は徹底的に外注するか他の国のスタッフに一任することが重要だと感じる。

例えばアメリカ。
なんといってもビジネスモデルを構築したり、混沌とした考えやアイデアを分かりやすく体系化する能力が超一流。
また、イノベーションの国でもある。
誰も考えたことがない技術やアイデアをゼロから1に形づくるのが得意。
日本は、これらのアイデアや思索的な技術を更に洗練させていくことが得意。

例えばユダヤ。
これはなんといってもファイナンス。資金の調達から運用のセンスは世界でも群を抜く。

例えば欧州。
欧州は感情やデザインやブランドの国。モノやサービスを洗練させるには彼らが一番。
品質はそこそこなのに、何故か彼らがプロデュースすると物質的欲求が高まりワクワクする。

例えば中国。
華僑の商売上手を見たら、彼らは既にあるビジネスモデルを現地や地域になじませて実際に利益を得るモデルを実行する行動力とノウハウと人脈がすごいと感じる。
逆に言えば、彼ら彼女らとうまく組んで、華僑に多めのインセンティブを渡したパートナーシップが結べれば、一気にそのビジネスのシェアを取れると思う。

例えば韓国。
近年、韓国は文化をうまく表現してポップに語り、コリアイメージを上手に、特に若い層に構築している。

グローバルビジネスを展開する場合、全てを一人で行うのではなく、得手不得手をよく理解しながら協力できると理想的な組織が作れるかもしれない。
これは理屈のセカイで、実際にその協調をとる作業は非常に難しいと想像するが。

日本のパルコが、タイ・台湾などから撤退した理由は、見た目のみのファションを韓国や中国からパクられたことに起因する。
仮にアパレルで模倣の困難性を構築するには、ユニクロのように確固たる機能を持つことが出来なければ直ぐにパクられる。
一度パクられるとモノの違いがなくなり、後は自然とコスト勝負になり、安く提供できる仕組みを持つ韓国や中国がジワジワと力をつける結果となる。
もしこの勝負に勝ち目をつけるためには、ユニクロのように圧倒的な機能繊維を全面に打ち出すか、H&MやZARAのように徹底的にイメージを構築するかが必要。
したがって、パルコは撤退を余儀なくされた。これは上記の考察から明らかである。

【マレーシア基礎データ】
国土は日本の0.9倍の約33平方キロメートル。人口は約3000万人。
民族は、マレー系(67%)、中国系(25%)、インド系(7%)
言語は、マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語
宗教は、イスラム教(61%、連邦の宗教)、仏教(20%)、キリスト教(9%)、ヒンドゥー教(6%)
政体は、立憲君主制(議会制民主主義)
内政の概況として、2008年3月の総選挙で、独立以来政権を担ってきた与党連合(統一マレー国民組織が中心となる組織が議席を大幅に減らす(90%→63%)とともに、同日実施の州議会選挙(12州)のうち5州で野党が政権を奪取した(野党議員の離党で現在は4州)。その結果、アブドゥラ首相(当時)は政治的求心力を失い、2009年4月にナジブ副首相に政権を移譲してナジブ政権が成立した。

ナジブ首相は、「One Malaysia」をスローガンに掲げる。民族融和と行政改革を前面に打ち出す。市場志向的な新経済モデルの提示。2020年までの先進国入りに向けたロードマップに相当する政府変革プログラム、経済変革プログラム等を発表して、各民族・階層からの与党連合への広範な支持回復を図っている。
一方、アンワル元副首相が2008年8月に下院補欠選挙で当選して以降、野党連合首班として名実ともに野党を牽引するほか、野党連合は次期総選挙を控えて連携を強化している。
2013年5月5日、総選挙が実施され、ナジブ首相率いる与党連合が現有議席から2議席減の133議席を獲得して勝利した。翌6日、ナジブ首相が再任し、16日に新内閣が発足した。

(記:早嶋 聡史)

(この項終わり。次回はインドネシア視察報告です。ご期待ください。)

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