
「Rainbow State 虹の州」とニックネームがつく米国ハワイ州
米国ハワイ州の “チャータースクール”
海外生活の長い私は人生で一番長い年月をアメリカで過ごしました。
アメリカ生まれの甥と姪はハワイの公立小学校に通っていますが、
「ワイアラエ・チャーター小学校」は
とても独創性の高い公立校です。
「ワイアラエ・チャーター小学校」5つのビジョン:
- Creative problem solvers 創造的な問題解決ができる人になる
- Self-confident risk takers 自信を持ってリスクを背負える人になる
- Well-rounded individuals who are capable of multiple dimensions
バランスの取れた、物事の多面性を理解する人になる - Collaborative 協力的な人になる
- Socially responsible to others and the world
周りの人と世界に対して社会的な責任感を持った人になる
“チャータースクール Charter School”とは
公立校でありながら、
国や州から与えられる予算を自由に使い、
各校オリジナルのプログラムが作れる教育システムです。
アメリカでは1992年にスタートし、
カナダ、イギリス、チリ、ニュージーランド、スウェーデンにも同じシステムがあります。
「ワイアラエ小学校」の特徴は、
子供達の自由な感性を尊重し、
環境保護、音楽、アート、語学などに力を入れる
創造性の高いプログラムです。
全生徒が一緒に花や野菜を育て、収穫後は皆で料理して食べたり、
生徒が捕まえたトカゲや昆虫をクラスのペットにし、
生徒が順番に世話をしたりと、
ホリスティックな教育方針のもと、毎日をのびのびと過ごしています。
通常小学校は午後2:15までですが、
放課後には各自選べる様々なアクティビティーが用意され、
良心的な学費で:
語学(日本語、中国語、ドイツ語、スペイン語等)、
フラ、アクロバット運動、演劇、コンピューター、声楽、
サッカー、テニス等に参加できます。
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ハワイではほとんどの家庭が共働きです。
そのためハワイ州の教育省は
放課後に子供達が親の仕事が終わる迄の時間、
安全に学校に残れるよう、
『Aプラス・放課後プログラム』を導入しています。
(1990年スタート)
放課後子供達は、
各自リーダーの率いる小さなグループに別れ、
一緒に遊んだり勉強したりします。
(月謝$85、午後5:30 まで)
みんなと一緒の時間、自分だけの時間
この学校で感心する事は沢山ありますが、
特に国語 「Extensive Reading(英語)」のクラスは興味深いものです。
幼稚園では先生が選んだ本を皆に読んで聞かせますが、
少しでも読める歳になると、子供達は各自好きな本を選び、
毎日最低30分間は読書をします。
皆が同じ本を読むのではなく、
自分の好きな本を好きなだけ読めば良いのです。
全員で同じ本について感想を述べる場は殆どなく、
各自が自分のスタイルで読み、
自分でそれぞれの感想を持ちます。
その感想には正しいも間違いもなく、
誰にも批判される事はありません。
私が日本で通った小学校の国語といえば、
クラス全員で同じ話を読まされ、
その事について皆で話し合うのが普通でした。
同じ様な感想を持たないと、
もしや自分だけがおかしいのではないかと
気恥ずかしく思ったりしたものです。
近年米国では「Extensive Reading」 という読書法が注目されています。
この読書法は、
“ 子供に自分の好みで本を選ばせると
本と親しむ事ができ読書が好きになり、
本を読む習慣がつきやすく
その結果、読解力が身に付く ”
というものです。
この研究結果に基づき、
ワイアラエ小学校では子供達に本を読む楽しさを教えています。
先生は年間3回ほど、各生徒の読書レベルをチェックし、
読める子供はどんどん上のレベルに進ませ、
読むのが苦手な子供は楽しく読める様指導します。
子供の時から自分の世界を持つ
クラス全員が連帯感を持つプロジェクトと、
各自のレベルに合わせて自由にさせるプログラム。
この2つを上手く組み合わせている所がアメリカらしい教育方針です。
もともと周りと同じである事が美徳とされないアメリカですが、
自由な発想や創造性の芽は、
このように子供の頃から育てられていると感じずにいられません。
EQ パートナーズ
香港事務所
和田多実












