ASEAN経済共同体と日系企業

先日在シンガポールのBaker & McKenzie国際法律事務所において、日系企業向けにASEAN経済共同体についてのセミナーがありました。大変分かりやすく、役に立つ内容でしたので、以下要点を纏めてみました。

ASEAN経済共同体(AEC)とは何か?

ASEAN経済共同体は、英語でASEAN Economic Communityと呼ばれ、AECと略されます。域内の国々をあらゆるレベルで経済統合し、ASEAN地域のグローバル市場での競争力をより高める目的で結成されたものです。加盟国はASEANオリジナルメンバーである6か国、

  • インドネシア
  • マレーシア
  • フィリピン
  • シンガポール
  • タイ
  • ブルネイ

に新メンバー4か国

  • カンボジア
  • ラオス
  • ミャンマー
  • ベトナム

を加えた合計10か国から構成されています。

ASEAN-Member-Countries

AECの統合行程表(ロードマップ)によれば2015年末の時点での統合を目指しています。

このロードマップの中で、重要な戦略目標となるのが、単一市場と生産拠点を目指すというもの。ASEANで活動する日系企業には、大変重要なポイントになる部分です。具体的には6つのコア・エレメントから成り立っています。

  1. 域内の物資の自由な移動
  2. 域内でのサービスの自由な移動
  3. 域内での投資の自由な移動
  4. 域内での資本の自由な移動
  5. 域内での熟練労働者のより自由な移動
  6. ASEAN連結性

実際に統合は進んでいるのか?

現時点で、域内の物資の移動については関税タリフ等撤廃が進んでいるそうです。サービスの自由な提供や、域内の基準認証制度を統一についても、国、業種により大きなばらつきがあるものの、少しづつ統合に近づいている状態とのこと。またASEAN連結性については、日本でもニュースで取り上げられていますが、東西・南北・南部経済回廊の建設が進んでおり、越境交通協定も進められています。

2015年末に本当にEUのような統一市場が実現するのか?

EUと違い、ASEANは加盟国の中でGDPの差が著しく、また宗教、人種、言語、各国の法制度などもあまりに違いすぎるため、EUほどの高いレベルの統合は難しいとされています。そのためユーロのような共通通貨の導入計画もありません。人の移動に関しても、「熟練労働者のより自由な域内移動」と限定的です。またAECは2015年末に発効となっているものの、一斉に統合のロードマップに記載された事項が発効することは現状ほぼ不可能とのこと。EUとは対照的に、出来るところから少しづつ、徐々に統合していくという感じなのだそうです。

AEC2

AECの統合進捗状況が分かるようなシステムやポータルはないのか?

現在のところ、まだそういったものはなく、各国によって統合の進み方もまちまち。情報収集は言語の壁もあり、まだ現地のパートナーや専門家を使うといったマニュアルな方法に頼らざるを得ないのが現状なのだそうです。

結論

ASEANは成長率の高い将来有望な市場であり、AECはそのASEAN内での物資や投資の流れを自由化させ、多くの企業にとって大きなチャンスをもたらすであろう制度です。ただし2015年末に統合が完成するわけではなく、国ごと、業界ごとなど少しづつ、ゆっくりと進んでいく見込み。日系企業含め、ASEANで活動する企業がこの地域で成功するためには、事前のしっかりした調査に基づいて臨機応変に戦略を立てることが重要となります。

レポート:EQパートナーズ、シンガポール

ハウエルズ佳子

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