はじめに
2015年11月11-12日に開催された第17回日経世界経営者会議での世界の経営者の講演に関する内容をレポートとして
まとめました。日本のみならず、世界(米州、欧州、アジア)を代表する企業トップ21人が経営環境をどうとらえ、どのように企業を経営するかについて議論した大変貴重な内容です。皆様のなにかしらのご参考となれば幸いです。ご意見、ご質問、お気づきのことなどございましたら、ご連絡をお願い致します。
プロラムの詳細などは日本経済新聞社ホームページ http://www.ngmf.jp/ngmf2015/
参考: 日本経済新聞(電子版)より引用。
まとめ(安部による)
1)経営者・リーダーについて
‐ 経営者・リーダーには経営哲学、使命感が不可欠 -
経営には社会的使命感が根底になければならない。
「日本をアメリカのように豊かにしたい。
(そのために売上、利益を忘れ、店舗数、来店数を重視する)」(ニトリ 似鳥会長)
「デジタル情報を安全に交換できる世界へ。
会社に関わる全ての人に“誇り“を持ってもらえる経営判断をしたい」
(台湾 トレンドマイクロ CEO エバ・チャン氏)
「インパクトのあるリーダーが社風に大きな影響を与える。
どうなりたいか、ビジョンを持ち、社内で部下と議論を尽くすことだ。」
(米国 ボーイング CEO マックナーニ氏)
2)ビジネス・仕事について
― パッション(情熱)、パッション(情熱)、そしてパッション(情熱)-
「(ドローンは)空から世界を見たいとの夢からスタートした。」
(中国 DJI 副社長 ダニー・ジェン氏)
米国 GoPro CEOのニコラス・ウッドマン氏の数十分のスピーチの中には、
何度も”Passion(情熱)“という言葉が出てくる。それもたいへんうれしそうに語っていた。
3)マーケティングについて
- 顧客起点で、顧客体験を創造するマーケティング -
「伝統的マーケティングから、“経営型”マーケティングへ。
お客様起点。ブランドはお客様への約束。ブランド体験を創る。」
(資生堂 社長 魚谷氏)
「ボーイングのドリームライナー(787)は、自社がやりたいこと(高速ジェット)ではなく、
顧客の声(燃費、快適性など)から生まれた。」
(米国 ボーイング CEO マックナーニ氏)
「常にお客様と共にある。お客様をオフィスに招き、自社のサービスについてインタビューをしている。」
(中国 ネットイース CEO 丁氏)
4)イノベーションについて
― 自分で自分を破壊せよ! -
「決して満足せずに、イノベーションを起こし続けること。
自社のイノベーションで現在の自社商品を破壊する。」
(米国 GoPro CEO ウッドマン氏)
★ほとんどすべて経営者が“イノベーションの重要性”を述べていた。
5)企業文化について
- 企業文化が一つのコアコンピタンス(中核的強み) -
「ボーイングは3回の買収を経て文化や価値観がぶれてしまったことがある。
私は新たな文化をつくり出すことを考えた。
それぞれの強みを生かし、企業としてどのような姿になりたいのかを書面化した。
リーダーはどのようなもので、どのような属性が必要なのかといったことを1年半かけて話し合った。」
(米国 ボーイング CEO マックナーニ氏)
6)人材について
- 人材が最大の経営資源である -
「人が(企業の)基盤である。(People are the foundation.)」
(インド マザーサン 会長 ビビック氏)
「人がすべてである。」
(台湾 トレンドマイクロ エバ・チャン氏)
7)長期経営について
― 守るべきもの(伝統)と革新のバランス -
「老舗企業だからといって生き残るわけではない。虎屋(創業 1530年)のような“伝統と革新”が必要。」
(三越伊勢丹 社長 大西氏)
日本企業の今後の経営のあり方について(私見)
①経営スピードUP!
日本企業は良いものを持っているが、スピードが遅い。
例えば、インドの自動車部品メーカー マザーサンは多くの日本企業から技術、ノウハウを学びながら、
日本企業の何倍ものスピードをもって世界で事業を展開している。
日本のような成熟市場ばかり見ていると、世界のスピード感が分からなくなる。
②顧客のビジョン実現、問題解決型経営へ!
自社の技術、商品、サービスにこだわりすぎではないか。自社の商品、サービスそのものではなく、
自社のコアコンピタンス(中核的強み)を定義し、そこで実現できる顧客体験、顧客の問題解決を行う。
③何よりも経営哲学とビジョンを!
経営哲学や企業の使命感・中期のビジョンが人の心を動かす。
印象的だった言葉
「競争相手は(同業他社ではなく)、ハッカーである。」
(台湾 トレンドマイクロ CEO エバ・チャン氏)
「資生堂は(140周年を迎えるが)次の100年を創る。」
(資生堂 CEO 魚谷氏)
以上
EQパートナーズ株式会社(www.eqpartners.com)代表取締役社長
立教大学大学院 兼任講師 安部哲也
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