スーパーボス ‐ 超一流の上司とは?

皆さんは、スーパーボスというコンセプトはご存じですか?ハーバード・ビジネスレビュー誌に、面白い記事が載っていましたので、要約をご紹介します。
(原典記事、英語https://hbr.org/2016/01/secrets-of-the-superbosses)

スーパーボスとは、すなわち超一流の上司。スーパーボスは、新規事業で成功を収めたり、大きな収益を出すなど、単にビジネスで結果を出すだけではありません。スーパーボスの共通点は、とびぬけた才能を持った人を目ざとく見つけ出し、彼らをトップ人材に育てあげること。人を育てるプロなのです。

スーパーボスの例をあげてみましょう。米国でアメフトコーチの大御所といわれるビル・ウォルシュ氏。現在米国でトップのアメフトチームのコーチとして活躍中の32人のうち、何と20人までもがウォルシュ氏の元弟子でした。

またオラクル社のトップ、ラリー・エリソン氏。1994年から2004年までの10年間、エリソン氏の直属の部下だった11人のうち、9人がオラクル退社後、他トップ企業のCEO、COOとなって活躍しているのだそうです。

また伝説のヘッジファンド、タイガー・マネジメント社。創業者であるジュリアン・ロバートソン氏、優秀なファンドマネージャーの育ての親としても知られています。現在ヘッジファンド業界で成功しているトップマネージャーは、以前ロバートソン氏のもとで働いていた人が驚くほど多いのだそうです。

エリート人材開発のプロ、スーパーボス。彼らに共通することは何でしょうか。

まずスーパーボスは、能力のある人、才能のある人を見つけ出すのに長けています。知性、クリエイティブな才能、適応能力を評価し、自分より出来る人を雇うことに躊躇しません。そしてこれだという人を見つけたら、その才能を発揮できる環境を整えてあげます。部下を信頼し、新規ポジションを作ってでも採用したり、既存の業務内容をフレキシブルに変更して、サポートします。

またスーパーボスは、人材について固定観念に囚われません。女性や、外国人などのマイノリティも、能力重視で積極的に採用します。過去のキャリア・経験にもあまりこだわりません。例えば、アパレルのラルフ・ローレン社創業のラルフ・ローレン氏。彼は才能重視の人材登用で知られています。過去には、キャットウォークの一モデルだった女性を、「彼女は洋服とは何かをよく理解している」という理由だけで、女性服デザイン部門のトップとしてサプライズ抜擢したこともあったそうです。

スーパーボスは、人がどうすれば育つか知っています。様々な経験を積みながら、自分で学ぶのが、一番学習効率がよいと知っています。だから信頼を置く部下には、どんどん仕事を任せます。例えば、タイガー・マネジメントのロバートソン氏のもとに、テクノロジー・アナリストとして入ったチェイス・コールマン氏の話。ロバートソン氏は、コールマン氏の能力を見出して異例の昇進をさせ、3年後には2500万ドルの資本金を持たせて、コールマン氏自身のファンドを創設させるまでに至りました。

しかし、仕事が出来るプロフェッショナルほど、野心的にキャリアアップを狙うものです。スーパーボスは、もし腕利きの部下が辞表を出しても、引き止めません。逆に気持ちよく送り出すのです。それどころか築き上げた信頼関係をその後も保ち、連絡を取り合い、求められればアドバイスをする。そんな元部下の会社とパートナシップを結んで、自社がもっと繁栄するエコシステムに取り込むことも珍しくないのだとか。

スーパーボスは、部下が辞めるとき、別の優秀な人材を新たに探し育てるチャンスだと考えます。また新しい才能を見出し、さらに育てるという循環を作り出すのです。そんなふうにどんどん優秀な部下が自分のもとから旅立っていくと、あの人はスーパーボスだ、という評判が出来上がります。そうなってしまえばこっちのもの。その後は才能のある人が、自分からどんどん集まってくるのだそうです。「いい人を雇っても、慣れると辞めてしまう」こう聞けば、ネガティブなイメージかもしれません。しかし、優秀な人材を次々と開発し、開花させることにより、最終的には自分の成功、また自社の成功につなげていく。そんなポジティブなスパイラルを作り出せるのが、スーパーボスなのですね。人材開発を考えるとき、これらのアプローチは、大いに参考になるのではないでしょうか。

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