8月27-28日、人を大切にする経営学会(会長 法政大学大学院 坂本光司教授)の全国大会に参加してきました。
「人を大切にする経営学」とは、業績・技術・シェア最重視の経営ではなく、事業に関係する人(社員、関係者、取引先など)の幸せを重視する経営の実践こそが、結果として企業に安定的な好業績をもたらすという経営学です。(同学会HPより参照、一部変更)
総会と懇親会などに参加して私なりに考えたことは下記です。
1)経営者、リーダーが「人(特に社員)を大切にする経営」を行うことで、社員のモチベーションが上がり、顧客へのサービスが向上し、結果として利益が上がっていくこと。
“人重視”の経営を実践する企業の経営者・リーダー複数名に話を聞くと、
「以前は、売上・利益最重視の経営を行っていたが、結果が出なかった。“人重視”の経営に転換して、結果も出るようになった。」、
「自分も社員も家族も満足感・幸福感とも大きくなった。」、
「今はビジネスが楽しくてしょうがない。」などの声が多くありました。
2)“人中心の経営”の考え方は、日本のみならず、アジアなど海外でも通用する可能性があること。
矢崎工業 中国順徳工場、中国 双童日用品会社(中国のストローのシェア3割のトップ企業)、台湾SOLAS社などでの成功事例報告がありました。
私は以前、インドのIT企業大手HCL社を訪問したことがあります。
HCL社は「ES No1,CS No2」(社員が第一、顧客が第二)戦略を実施し、業績を上げていました。
3)「人を大切にする経営・ビジネス」を実践するためには、トップ、もしくは部門リーダーが徹底して実践するという“覚悟と人間性”が重要で、また、次世代のリーダー育成も重要であること。
矢崎 中国順徳工場の例にありましたが、「人を大切にする経営」は、企業のトップリーダーだけでなく、部門リーダーによる実践も可能です。
リーダーシップ論においては、「人を大切にする経営」でとられるのは概ね“サーバント型リーダーシップ”にあたります。これは、リーダーがメンバーに奉仕し、メンバーが顧客に奉仕するというリーダーシップスタイルです。
メンバーのモチベショーンUP以外にも、現場に近いメンバーから積極的な提案・アイデアが上がり、イノベーションや変革の機動力につながっているケースもあります。
リーダーシップ理論に関しては、下記もご参考ください。
「リーダーシップ理論の流れとリーダーシップの実践的開発方法」
(安部哲也 著、「東レ 経営センサー」2016年6月号所収)
http://eqpartners.com/blog/news_jpn/733/
【参考】人を大切にする経営学会ホームページ
http://www.htk-gakkai.org/
2016年9月1日
EQパートナーズ株式会社 代表取締役
立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科(MBA) 特任教授 安部哲也