人材育成トレンド:企業内大学設置

昨年の記事なのですが、英誌エコノミストに面白い記事(注1)が載っていたので、ご紹介します。

近年人材育成のトレンドとして、企業内大学を設置する企業が増えているのだそうです。

企業内大学といえば、1956年にGE社が設立したのが最初と言われており、またマクドナルド社も「ハンバーガー大学」の名称で親しまれる自社教育機関を1961年より運営しています。

ある調査によれば、1997年から2007年の20年間で、全米で企業内大学の数は倍増し、2000社以上に、また世界中では4000社以上が同様のプログラムを設けていると言われます。

従来のビジネススクール留学、派遣ではなく、なぜ企業内大学なのでしょうか?それは各企業が抱える課題がどんどん複雑になり、細分化してきたことにより、既存の講座、コースでは十分に対応出来なくなってきた、ということが挙げられます。

NUSBIZ building

最近の企業内大学設置の例を見てみましょう。

ユニリーバは、ロンドンに50年以上歴史のある企業内大学キャンパスがありますが、2013年には2拠点目となるシンガポール・キャンパスを、オープンさせました。投資額は6500億ドル。もちろん施設だけでなく、コンテンツも超一流、ケンブリッジ大学やINSEADから教授を引き抜いたのだそうです。

教授の引き抜きといえば、Apple社も負けていません。名門中の名門、イェール大ビジネススクールのジョエル・ポドルニー学長を直々にヘッドハントし、自社内大学のトップに招聘しました。アップル社の人材育成にかける意気込みがうかがい知れるエピソードです。

また製鉄アルセロール・ミッタル社ですが、企業内大学キャンパスは既に世界6拠点あり、これからさらに3拠点増やす予定。興味深いのは、キャンパス拠点の多さと、英語以外の各ローカル言語での各種研修の提供です。ミッタル社の場合、英語のネイティブスピーカーは全社員の15%のみ。そのため各ローカル言語で、質の高い研修を提供することを重視。ローカル人材のリーダー育成を促し、駐在員派遣によるコストを減らすことにつなげる目的があるのだそうです。

ただし企業内大学の課題も、あります。一般のビジネススクールと違い、社外・異業種の視点が欠けてしまうため、ディスカッションしても偏った意見が多くなる、社内の立場を考慮して自由に発言できない、企業内大学の運営自体が人事部の管理下にあるため、研修の成果評価が甘くなる恐れがある、など。

弊社のクライアントである日系企業さまでも、企業内大学研修制度をお持ちのところがございます。シンガポール国立大学ビジネススクールのカスタマイズ講座を取り入れ、質の高い内容でなおかつ自社のニーズに合わせたケーススタディを多用。日本人だけでなく、海外拠点の外国人幹部候補生も参加するため、ディスカッションでも様々な意見が飛び出します。弊社では、豊富な経験・知識と海外拠点を通した細やかなサポートで、皆さまの企業内大学設置、運営についてのご相談を承ります。どうぞお気軽にお声がけ下さいませ。

 

(注1)エコノミスト誌オリジナル記事リンク、2015年5月16日

http://www.economist.com/news/business/21651217-more-firms-have-set-up-their-own-corporate-universities-they-have-become-less-willing-pay

 

 

 

 

 

 

 

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