私自身、大手メーカーにて国内海外マーケティング・営業と香港駐在員
をしていた当時、日本人、香港人、中国人またアジア人、欧米人などとの
価格、品質、納期、サービスなどについて数多くの交渉の場面を経験しま
した。
うまくいったと思う交渉もありましたが、多くの失敗もありました。
特に外国人との交渉においては上手くいかなかったことも多かったと
思います。
今、なぜかと考えてみますと、まずは交渉の基本セオリーを全く知らず
に我流で行っていたことに思い至ります。
私が当時、MBA(ビジネススクール)で勉強して驚いたことは、世界では
“ハーバード流ビジネススクール”などをはじめとする交渉のセオリーが
教えられており、その実践トレーニングを受けている人も多かったという点です。
1)WIN-WIN交渉(勝ち負けではなく、双方の価値を創造する交渉)の考え方
2)自分と相手の最高と最低のゴールを想定し、事前に交渉戦略を立てること
3)BATNA(バトナ)という交渉決裂の際の代替案を準備すること
4)交渉における異文化要素を考慮する など
恥ずかしながら、自分としては上記のことはほとんどできておらず、毎回、
行き当たりばったりで交渉を行っていました。
去る8月27日、EQパートナーズ主催でシンガポールマネジメント大学
マイケル・ベノリール教授をお招きして、「グローバル交渉」セミナーを
開催しました。当日は定員の24名の方にご出席いただき、白熱した講座
が行われました。
このセミナーでは、上記4)の「交渉における異文化要素」にフォーカス
をして講座が進められました。
同セミナーでの主なポイントは下記です。
西洋(欧米)と東洋(アジア)では文化が大きく違い、交渉のやり方
にもそれが表れる。文化の違いを調整しながら交渉を進める必要がある。
1)ハイコンテクスト文化(アジア)とローコンテクスト文化(欧米)
欧米では交渉の内容にストレートに入っていくが、アジアでは
交渉相手の全容を知り、人間関係・信頼関係を作ってからでないと
交渉がスタートできない。
2)欧米では契約に際しての文書等は公式・法的なものであり、
極めて詳細に内容が記載されるが、
アジアでは、一緒に働くという意図の表現であり、
あまり詳細に記載されず、変更もありうる。
3)欧米では比較的ストレートに感情を表情に出して表現するが、
アジアではあまり表情を出さない。
上記をはじめとする東洋・西洋の文化の違いに対し、片方だけでなく双方で
その違いを理解し、双方が歩み寄り調整しながら交渉を進めることが重要で
ある。
★同グローバル交渉セミナーの様子は、
EQパートナーズ ブログでもご紹介しています。
https://eqpartnersblog.com/2015/08/31/p4r5gr-m8/
(EQパートナーズ株式会社 代表取締役・立教大学院 兼任講師 安部哲也)